「確率1/nをn回試行したとき」を暗算するメモ

縛りプレイのお祈りゲーで前からよく扱う確率だったし、ちょっと前のソシャゲガチャの話もあったので、せっかくだから暗算で近似できるようにしておこうと思った。

結論

nが十分大きい時、成功確率1/nをn回試行して1回以上成功する確率は63%強(1-1/e)。
累積成功確率を95%にするための試行回数は3n回。「3倍回で95%」と覚えておくだけで十分実用的。
実用における「十分大きい」の目安は n >= 10 程度。それ以下のときは多少の誤差を無視して考えてもいいし、手計算してもいい。
他の回数は1/e=0.37, 1/e^3=0.05 を適当に掛け合わせて失敗率を概算できる。

以下メモ。

確率1/nをn回試行したとき、1回でも成功する確率

n回やって失敗し続ける確率
(1-1/n)^n

二項係数で展開
sigma(0, n, i => C(i,n)/n^i)

nが十分大きく n-i/n=1で近似できるなら、失敗率は1 - 1/2 + 1/6 - 1/24 + ... = 1/e に収束。37%弱。
実際の値をExcelで計算するとn=4で30%、n=10で35%となるので、「二項係数をピラミッド書いて計算できないくらい大きいときは60%強で成功」と覚えておけば問題なさそうだ。
結論としてはたいしたことのないtipsという感じの話。

確率1/nをk回試行したとき、95%以上の確率で1回成功するための回数k

なので、失敗率pをパラメータとして、p以下を満たすような試行回数kを求めることを考える。
(1-1/n)^k < p
k * (log(n-1) - log(n)) < log(p)
k_border = log(p) / (log(n-1) - log(n))

いくつかのpについて、Excelで計算した。
結果を見ると 1 / (log(n-1) - log(n)) はnが十分大きいときに明らかにnの一次式に収束する。(理由は数学力が足りずよくわからないけど微分するとそんな感じになりそうではある)
また都合のいいことに p=5% のとき、k_border はほぼ 3n で近似できる。(n>=10で 3n * 0.99 < k_border < 3n の範囲に収束する)
「3倍回で95%」というのはかなり実用的な近似法だと思われる。

k_borderに対してpは指数的に変化するので、他の確率、回数については応用して計算できる…範囲かというとなかなか厳しい。
一応、必要な累乗根を計算することができるなら、0.05から求めることはできる。
k_borderがnの2倍になるのは 0.05^(2/3) ~ 13.6% とか。
でもそれだったら1/e=0.37, 1/e^3=0.05を適当に掛け合わせて暗算したほうがいいか。
2n回の失敗率は 1/e^2 = 0.37^2 ~ 14%、4n回だと (0.05 * 0.37) ~ 2%。

とりあえず「3倍回で95%」が使いやすく、これを導くことができたので満足することにした。
確率認識の弱い人は「1/nをn回やれば95%」とさえ思っている疑いがあるので、その目を覚ます目的では十分だろう。